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『データ・ドリブン・マーケティング』の著者マーク・ジェフリー氏が語る、MCMが“今”必要な理由とは

マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)はマーケティング活動をナレッジとして蓄積・再利用し、マーケティング組織の能力を向上させます。AD EBiS Campaign ManagerはMCMプロセスを組織に定着させる仕組みを提供します。

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マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)のコンセプトを提唱した、マーク・ジェフリー氏へインタビューを実施しました。同氏はかつてマーケティング分野の最高峰・米国ケロッグ経営大学院で准教授を務め、著書『データ・ドリブン・マーケティング』は、ジェフ・ベソス氏がAmazonの社内教科書に採用するなど長年にわたり数多くのマーケティングリーダーの参考とされてきました。

MCMが生まれた背景や4つのプロセス、組織能力との関連、そして十数年前に体系化されたメソッドが「今」業界で注目される理由を、提唱者である氏自ら語っていただきました。

マーク・ジェフリー氏

マーク・ジェフリー氏

アクイモ社CEO。元ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院 准教授。著書『Data-Driven Marketing』(Wiley刊)は世界中で読まれ、Amazonのジェフ・ベゾス氏が社内教科書として採用したことで話題に。マーケティング戦略とITマネジメントの融合における先駆者。

MCMのコンセプトを考案した背景について教えてください。

ジェフリー氏:

こんにちは、マーク・ジェフリーです。『データ・ドリブン・マーケティング』の著者です。
私はまず、全米のマーケティングエグゼクティブたちにインタビューを行い、彼らの課題は何かを尋ねることから始めました。そして私が耳にしたのは、大きく2つのことでした。

1つ目は「データの重要性」です。多くの会社ではデータもデータを分析する能力も不足しています。
そしてもう1つは、「デザインの重要性」についてです。

では、そのデザインに、どのようにデータやデータ分析を活用すべきなのでしょうか?
この疑問をきっかけに、私はさらに深いリサーチを行いました。
リサーチの結果、72%のマーケティング組織が、実際にはデザイン制作を外部委託していることが分かりました。外部委託しているということは、制作工程がコモディティ化していることを意味します。なぜなら、どこも同じような会社に委託しているからです。

では、マーケティング組織が競争力を持つために、何をすべきなのでしょうか?
それが、マーケティング活動の一連のプロセスを管理すること。すなわちマーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)なのです。

ケロッグ経営大学院におけるMCMに関する研究について教えてください。

ジェフリー氏:

私はケロッグ経営大学院で、年間約560億ドルのマーケティング予算の用途を分析する大規模な研究を実施し、重要な洞察を得ました。
それはマーケティングをポートフォリオとして考えるべきだということです。
企業が一定のマーケティング予算を持っている場合、そこには様々なキャンペーンが存在し、様々なキャンペーンによってひとつのポートフォリオが構成されます。

そして、マーケティングで成功する企業と失敗する企業のポートフォリオには、大きな違いがあることが明らかになりました。
失敗する企業は、短期的な売上を目的としたキャンペーンに多くの予算を費やす傾向があります。

一方で、成功する企業は、短期的な売上を求めつつも、それだけに頼ることはしません。ブランディング、顧客価値の向上、そして、MCMなどのインフラやソフトウェア、長期的な成長に繋がる分野にも積極的に投資、バランスの取れたポートフォリオを構築しているのです。

マーケティング格差の存在を示す調査結果 業績下位企業 平均を4.4%下回るマーケティング費用 市場形成 14% ブランディング 7.5% カスタマー・エクイティ(CRM) 11% 需要喚起 58% ITインフラおよび組織能力 10% 業績上位企業 平均を20%上回るマーケティング費用 市場形成 9% ブランディング 13% カスタマー・エクイティ(CRM) 14% 需要喚起 48% ITインフラおよび組織能力 16%
出典:マーク・ジェフリー著『データ・ドリブン・マーケティング』(ダイヤモンド社、2010年)p.25

MCMの概念について説明していただけますか?

ジェフリー氏:

MCMは、とてもシンプルな概念です。

  1. 選択
  2. ポートフォリオ最適化
  3. 効果測定

私たちの調査で明らかになったのは、成功している企業と失敗している企業の間には、このプロセスに対する決定的な違いがあることです。
成功している企業は、測定した結果のデータを、次のキャンペーンを選択するプロセスにフィードバックします。これを「4. 適応学習」と呼びます。これにより、MCMは単なる一連の作業ではなく、継続的な学習サイクルとなるのです。

マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)のループ キャンペーンへの投資(選択) キャンペーンの管理(実行) 効果測定(測定) フィードバック(適応学習)
出典:マーク・ジェフリー著『データ・ドリブン・マーケティング』(ダイヤモンド社、2010年)p.327

MCMを構成する4つのプロセスについて説明してください。

ジェフリー氏:

MCMをフィードバックループを持つ継続的なサイクルだと説明しました。
あれはあくまで単一のキャンペーンについてです。私たちはこのプロセスを、より包括的に捉える必要があります。
MCMを実用的な組織能力へと高めるには、4つの主要なプロセスが不可欠です。

  1. 選択
    どのようなキャンペーンを実施するか、ポートフォリオ全体から最適なものを選びます。
  2. ポートフォリオ最適化
    複数のキャンペーンが、相乗効果を生んだり、あるいは逆効果になったりしないよう、全体を管理・調整します。
  3. モニタリング
    キャンペーン実行中は、状況を継続的に監視します。
  4. 適応学習
    結果を測定し、そのデータを次のキャンペーンの選択にフィードバック、プロセス全体を改善し続けます。

この4つのプロセスに加えて、私はテクノロジーとの関連性を発見しました。
テクノロジーはMCMの組織能力を後押しする存在であり、この4つのプロセスに加えてテクノロジーを備えた組織は、驚くほど優れた成果を上げています。
具体的には、ブランドエンゲージメントの向上、収益成長の加速、資産収益率の改善、株主資本利益率の向上などです。私たちの調査では、MCMを実践することで、企業のパフォーマンスが大きく改善することが示されています。

マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)の4つのプロセス 1 選択 2 ポートフォリオ最適 3 モニタリング 4 適応学習 + テクノロジーの導入

MCMプロセスの成熟度について教えてください。

ジェフリー氏:

私たちの調査では、MCMにおいて、組織がどの程度洗練されているかを定義する「成熟度モデル」があることがわかりました。このモデルは3つのレベルに分かれています。

  1. 初級レベル
    このレベルの組織は、MCMのプロセスが緩やかに定義されている段階です。キャンペーンの選定、測定、データの収集は行っていますが、体系的なプロセスには落とし込まれていません。
  2. 中級レベル
    このレベルになると、プロセスはより洗練されます。キャンペーンの選定や実行方法について厳格なプロセスが確立されていることが多いです。また、データの収集にはデータウェアハウスが使われ、管理プロセスも組織化されています。
  3. 上級レベル
    このレベルに達している組織には、いくつかの重要な特徴があります。
    まずは「ポートフォリオの積極的な管理」。測定結果を次のキャンペーン選定に活かすフィードバックループ、つまり適用学習までプロセスを構築しています。次に「リアルタイムでの調整」。キャンペーンのパフォーマンスを継続的に測定し、実行中に動的に調整します。そして「テクノロジーの活用」。データをリアルタイムで処理するアクティブ・データウェアハウスや、MCMプロセスをサポートする専用のテクノロジーツールを導入しています。
MCM 組織能力の3つのステージ 成熟度 組織能力 初級 共通の目的・目標 キャンペーン管理の集約化 マーケティング・データベース 中級 個別の目的 確立されたキャンペーン投資を選択するプロセス 成果を測定する指標 キャンペーン終了後での効果測定 データウェアハウス 上級 ・企業戦略とマーケティングを整合させるスコアカード キャンペーン選択におけるポートフォリオ最適化 積極的なキャンペーンの管理 アジャイル・マーケティング:キャンペーン実行中での効果測定 適応学習およびフィードバック:将来のキャンペーン選択への活用 解析マーケティングおよびCLTV測定 イベント・ドリブン・マーケティング ITインフラ:マーケティング・リソース・マネジメント(MRM)、企業内統合データウェアハウス(EDW)、解析
出典:マーク・ジェフリー著『データ・ドリブン・マーケティング』(ダイヤモンド社、2010年)p.343

MCMが提唱された2010年以来、Amazonのジェフ・ベソスをはじめ、多くのマーケティングリーダーの参考とされてきました。MCMが再び重要視されている理由は?

ジェフリー氏:

MCMが、今日、非常に重要になっている理由は主に2つあると考えています。

1つ目は、データの爆発的な増加です。例えば、全世界のデータ量は3年ごとに倍増しています。これは、マーケティングにおいて分析し、活用すべき情報量が、天文学的な規模になっていることを意味します。

2つ目は、AIの台頭です。AIは、膨大なデータセットを分析し、自律的な学習システムを通じて、有益な洞察や提案を提供してくれます。
こうしたAIによるレコメンデーションは、現代のマーケティング担当者にとって、非常に価値のあるものとなっているのです。

AIは、MCMにどのような影響を与えますか?

ジェフリー氏:

AIは、MCMのあらゆる側面に影響を与えます。「選択」のプロセスを考えてみましょう。
AIを活用すれば、何が成功し、何が失敗したのかというパターンを分析できます。そのパターンから得られた洞察をマーケティング担当者に提供することで、彼らはより良い意思決定を行えるようになるのです。

企業がMCMを導入する際、何から始めれば良いでしょう?

ジェフリー氏:

MCM導入はいきなり全社的に取り組むべきではなく、小さく始めることが重要です。
まずは1つのキャンペーンから着手し、そこで測定プロセスと成功の鍵となるフィードバックループを構築します。そうして小さな成功体験を掴むことがMCM導入の第一歩となるのです。

我々はMCMの概念から着想を得てAD EBiS Campaign Managerを開発しました。ご覧いただいた感想をお聞かせいただけますか?

ジェフリー氏:

アドエビスキャンペーンマネージャーは、MCMをまさに体現しているプロダクトだと感じました。
私がこのプロダクトを分析して、特に感銘を受けたのは、マーケティング担当者がキャンペーンを簡単に設定・管理できる「ポートフォリオ最適化」へのアプローチが非常にうまく組み込まれている点です。

また、すべてのキャンペーンの詳細なトラッキング機能も素晴らしいです。キャンペーンが機能しているか否かを測定し、その測定データを、次のキャンペーンの「選択」プロセスにフィードバックしているのです。

そして最も重要なのは「適応学習」の仕組みです。アドエビスキャンペーンマネージャーは、AIを活用し、過去の成功・失敗パターンに基づいて、次に選択すべきキャンペーンについて、マーケティング担当者がより良い意思決定を行えるようサポートしている点は素晴らしいと感じました。

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