AD EBiS Campaign Manager(アドエビス キャンペーン マネージャー)

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マーケティング組織は「一代限りのラーメン屋」から卒業せよ
──職人芸をプロセスに変えるMCMという考え方

「天才」に頼らず、組織で勝つためのフレームワーク「MCM」とは

マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)はマーケティング活動をナレッジとして蓄積・再利用し、マーケティング組織の能力を向上させます。AD EBiS Campaign ManagerはMCMプロセスを組織に定着させる仕組みを提供します。

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デジタルマーケティングの世界は、歴史が浅く、変化のスピードも凄まじい。担当者が変わった途端に運用ノウハウが消失し、成果が落ちてしまう「属人化」は、多くの組織が抱える慢性的な悩みだ。 「あの人は一体、何をどう判断して成果を出していたのか?」──その問いに答えられない組織は、いつまでも個人の"職人芸"に頼らざるを得ない。

今回は、国内最大級のDMP(データマネジメントプラットフォーム)専業大手、株式会社インティメート・マージャーの代表取締役社長・簗島 亮次氏にインタビュー。マーケティング組織が抱える「構造的な脆さ」と、AI・データを活用して「プロセスの科学(再現性の確保)」を実現するためのヒントを伺った。

株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長 簗島 亮次 様

株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長 簗島 亮次 様

慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータがひとつに統合される」という革命の名を冠した株式会社インティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。上場後はクッキー規制や個人情報保護法に関する総務省に関するワーキンググループでの講演や各社大手新聞社で有識者として多数の掲載実績。国内外の大手プラットフォーマーとしてクッキー規制に対するソリューションを提供中。

マーケティング組織が抱える「構造的な脆さ」

多くの企業で「担当者がいなくなった瞬間に成果が落ちる」「前任者が何をやっていたか分からない」という属人化の課題を聞きます。簗島さんはこの業界を長く見てこられて、どう感じていますか?

簗島氏:

まさにおっしゃる通りですね。ただ、その背景には、「超構造的な課題」が前提にあると思っています。

デジタルマーケティングはまだ歴史も短いですし、部署としても新しく作られた組織だったりします。だから、現場でやってきた詳しい方が抜けてしまうと、一気にノウハウがなくなってしまうといった話をよく聞きます。 これは代理店様にお任せしているケースでも同様ですね。「代理店を変えたら、知見が向こうにあって全然わからなくなっちゃった」といった話ですね。

なぜ、そこまで属人化しやすいのでしょうか?

簗島氏:

構造的な問題として2つあります。 1つは、デジタルマーケティングが「とっつきにくくて難しい」こと。 僕も元々はゲーム業界(IT系の業界)からこの業界に来たんですが、それでも「知らない言葉がいっぱいだぞ?」みたいなことがありました(笑)。

コミュニケーションの中でも専門用語が飛び交いますし、そういったとっつきにくさも含めて、他部署からは何をやっているか見えづらい。どうしても属人的なプロセスが作られがちですし、属人的なノウハウが溜まりがちなんです。

もう1つの構造的な課題は、「答えだと言われるプロセス」が陳腐化しやすいこと。 例えば、10年前のGoogle広告の管理画面と今の画面って、全く別物ですよね。その時代ごとの「こうあるべき」という設計思想自体が全然違ったりする。 なので、担当者依存で次の人にスキルを渡していったとしても、いざその人が画面を見てみたら「実は今のノウハウではない」ということも結構あるんです。

陳腐化しやすい上に、難しいからその人だけに情報が溜まってしまう。でも、その情報を出そうとした時にはもう古くなっている、ということがありますよね。

簗島氏:

このマーケティング組織の本当に「構造的な欠陥」と言いますか……。構造的にノウハウが溜まりづらいし、そのノウハウの陳腐化の速度が速いっていうところが、すごく大きな問題かなと思っています。

「美味しい料理」を誰でも作れるようにする

我々もこの「構造的な欠陥」を解決するために、マーケティングプロセスを仕組化する「MCM(マーケティング・キャンペーン・マネジメント)」を提唱しています。このアプローチについて、どう感じられますか?

MCM概念図「月次予算乖離用要因の特定>施策検討>施策の準備>施策の実行>レポート」」
簗島氏:

すごく良い取り組みだと思います。 今のマーケティングプロセスは、「抽象化」が少し足りないところがあると感じています。 マーケティングって、「全部まるっとやるぞ!」となりがちなんですが、それだと「実行」に問題があるのか、「改善」のプロセスが回っていないのか、どこに課題があるのか見えにくい。

抽象化されたプロセスにすることで、「ノウハウ」という漠然としたものよりも、「ここがこうアップデートされたんですよ」と伝えやすくなる。 マーケティングプロセスは職人芸と言われることが多いんですが、そこがモジュール化されているということが、僕らのようなデータの会社からすると、すごく科学的で再現性があっていいことなんじゃないかなと思います。

この「プロセスの仕組み化」を完成させるためには、何が必要になるんでしょうか。

簗島氏:

まずは汎用化とか再現性を高めることが重要だと思っています。 よく料理に例えてお話しするんですけど、「美味しいもの作ってくれ」っていうオーダーが、料理人にとって一番困るし大変なんですよ(笑)。 「美味しいもの」と言っても、そこには「材料(予算やリソース)」があって、「レシピ(工程)」があって、「調理法(具体的な媒体や手法)」があるわけです。

ベテランのシェフやマーケターは、この組み合わせを脳内で瞬時にやっているんですよね。「今日のお客さんは年配の方だから、この材料で和食にしよう」みたいに。でも、それを組織として再現するには、工程を分解して言語化しておく必要があります。「予算50万円の時のプロセス」と「予算2,000万円の時のプロセス」は、選ぶ手段が全く違いますから。

材料や目的が違う時に、「どうすれば課題の解消になるか」というノウハウですね。

簗島氏:

そうです。「どこをどう変えたからここがこうなった」を理解するためにも、やっぱりプロセスを分解しておく必要があるなと。

今の「美味しい料理を作るシェフ」というのは、最初の材料選びも含めて、工程の全部を「なんとなくよく選べる人」なんです。「あの年齢の人が来たってことは、この料理を選ぶと美味しいと思ってもらえることが経験上確実だ」みたいな。 やっぱりそこのノウハウは抽象度が高すぎて、ノウハウ化されていないんです。

言語化されていない工程がある、と。

簗島氏:

「ラーメン屋の店長が変わったら味が落ちた」みたいな話に近いですね(笑)。「同じもの使ってるはずなんだけどね、なんか味が違う」みたいなところは、多分言語化されてない工程がおそらくあるんだろうなと思います。

個人商店であれば問題ないと思いますが、企業(フランチャイズ化)活動として成果を上げようとすると、「どういう思考でそのメニューを選んだの?」というところまで分かっていく必要がありますね。

簗島氏:

まさに。 マーケティングは「フランチャイズ」であり、企業はそもそも永続的であるべきなので、いつかノウハウ化、仕組み化をやらなくてはいけないと思っています。

AIは「めちゃくちゃ詳しい先輩」である

そうした属人化の解消やプロセスの進化において、AIは強力なツールになると思います。簗島さんは、マーケティングにおけるAIの役割をどう見ていますか?

簗島氏:

「データをガソリンとすると、AIはエンジンだ」と私たちも考えており、AIとマーケティングは切っても切れない関係と言えます。 このマーケティングプロセスにおいても、AIはこれからプロセスの属人化を減らすものとして出てくると思っています。

先ほどの料理の話に近いですが、マーケティングツールの管理画面は、ボタンも多くて使いづらく、言葉も難しいので、見た瞬間に「どうしていいのか分からない」というのがある。 マニュアルはあるから読み込めば分かるんですけど、教育の過程で「Google広告のマニュアルを読め」っていう人は、いないんですよ(笑)。「背中を見て感じ取れ」という暗黙の了解、つまり、言語化はされているけれど踏み込めていなかったギャップを埋める役割として、AIが出てくると思います。

AIが「ノウハウを知っているめちゃくちゃ詳しい先輩」といった役割を果たしてくれたり、先輩がやっていることを代わりに実行するといった役割として、「AIエージェント」がこれからは重要になってくると思います。

AIが入ることで、マーケターの役割は変わっていくのでしょうか?

簗島氏:

役割そのものというより、「時間の使い方」が劇的に変わると思います。 マーケティング担当者が一番時間を使ってるのは、実は「PowerPointにレポートの数値を貼り付ける作業」かもしれない。それは、求められてるゴール(売上や集客)を満たすために必要な工程の一つであるけれども、「考える時間」を奪ってしまっている。 こういった「マストの業務」に予想以上に時間を取られてることが多いです。AI活用には、これらの時間を短縮させる可能性があるかなとは思います。

ラーメン屋さんが「鶏ガラを3日間煮込んでます」という工程が全部取っ払われたら、より時短で美味しいものを提供できるみたいなイメージですね。

簗島氏:

まさに(笑)。「飯盒(はんごう)で炊いたご飯は苦労の味」みたいなのもあるかもしれないですけど。 マーケティング担当者は、売上を上げることや、新商品のお客さんを増やすということに対して、直接的に因果関係のあるところに時間を割けるようになるといいですよね。

データの落とし穴と「暗黙知」のデータ化

AI活用にはデータが不可欠ですが、多くの企業がデータ活用で陥りがちな「落とし穴」などはありますか?

簗島氏:

一般論として、データ活用プロジェクトに関わる時によく陥りがちなこととして、「データと言われるものの幅が、狭く捉えられてしまうことが多い」です。

例えばマーケティングにおいてのデータ活用では、「自分たちの会員データを使ったCRM」など。それはもちろんデータを使う一つの重要なものではありますが、ただそれだけがデータではないです。 また、メールマーケティングでいうと、過去に送ったメールの文面であったり、競合が送っていたメールの文面、セミナーの文面みたいなものも、もしかしたらデータかもしれない。 それ以外にも、社内でアンケートを取って「お客さんにこういう営業活動をしたから、こういう結果が得られたよ」など、マーケティングプロセスの中で得られてる内容の中にもデータがたくさんあります。

現場の肌感覚なども含めて、ですね。

簗島氏:

例えばマーケティングの「設定の方法」も、もしかしたらデータかもしれない。 「Google広告のいい設定があるのでは?」って思うかもしれないですけど、もしかしたら「3月に商戦期を迎える競合会社がたくさんいる場合、実は、広告を止めることが一番マーケティングのROIを上げられた」という場合。これは何かのデータベースがあるわけではなく、オペレーションのログとして「このオン・オフをやったらいい結果が出た」データが残っていたということになります。 そういうのを含めて、実はデータと捉える範囲が結構狭いということが、プロジェクトの中では多い印象はありますね。

お客様の定量データだけじゃなくて、社内の暗黙知やプロセスデータも重要な資産なんですね。

簗島氏:

私たちも長年マーケティングをお手伝いさせていただいたお客様に対して思うんですけど、毎年例えば12月の頭に売上が下がる要因は何か、「ブラックフライデーの余波か」ということが毎年のようにあります(笑)。

要因を探している時間が、もったいないですよね。こういったことは、もうちょっと暗黙知として社内で共有されることで解消されると思います。 こういった業界特有の事象は、AIは知らないかもしれないけど、社内では分かっていることがあります。 オフラインで保険の営業担当の方は「いついつに需要期が訪れる」ということを知っていても、意外とノウハウ化されてない。それがデータだと思っていない方が多いと感じますね。

こういったデータをうまく結合して溜めて、AIが動く世界観みたいなものが出来上がったとしたら、どんなマーケティングの未来が待っているのでしょうか。

簗島氏:

理想論かもしれませんが、「AI側がレコメンドしてくる未来」が来るだろうなと思っています。

よく生成AIなどを使う際に陥りがちだと思っていることですが、「ハルシネーションが…」とか「答えを出してくれない」といったことがあった時に、AI側が頑張って答えを出してハルシネーションが出るケースもあれば、「AIが知らないから答えられない」ということがあります。 働いてる人と同じだけAIに過去の経験則があれば、それをAIが教えてくれるなど。 例えば「12月の一番いいマーケティングプランを提案して」って言ったら、「2年前のこの時うまくいって、3年前のこの時うまくいかなくて、5年前から4年前の間はこれがうまくいってました」ということを教えてくれるようになると思います。

前提をAIが知らずに答えられない。逆に「AIが全部知っていれば」、人間に近いくらいのレベルのおすすめを出してくれる可能性はあります。

実は我々もこういったマーケティングプロセスを半自動化し、AIがレコメンドしてくれるような「誰がやってもどんな時にも回る世界」を今作ろうとしています。

簗島氏:

めちゃめちゃいいと思います。 「頑張ってものを作ってる方たちが、売れる世界」で、さらに思考できる時間を作れるということはいいことだと思います。私たちもそういう世界が、データを介して来る時だと思ってます。

では、こういった世界を目指して、マーケターやマーケティング組織は何から始めればいいでしょうか?

簗島氏:

実は多くのマーケティング組織において「整理された顧客データ」や「ノウハウ」、場合によっては「過去のExcelのデータがGoogleドライブやBoxにはある」ものの、「AIはそこは知らない」という状況が発生しています。

会社の方針として、AIを利用して組織に再現性を持たせようとした際には、「AIとの付き合い方」はとても重要になります。 AIとの付き合い方において一番重要なことは、プロンプトにも近いですけど、「AIに自分たちを知ってもらう」ということです。 そのため、AIに情報を渡していくことから始める必要があります。

インティメート・マージャーが提供する「顧客解像度」

御社のデータ活用ソリューションは、そうしたプロセスの中でどう貢献できるのでしょうか?

簗島氏:

AIに、お客様のことや自分たちが実施した施策を知ってもらうことに利用いただけます。 自社のデータだけですと「サイトに来てコンバージョンしなかった人」が何者なのか、分からないんですよ。

でも、僕らが持っているサードパーティデータを掛け合わせることで、例えばリスティング広告のキーワードで入ってきた人に対して、「このキーワードで来た人は、実はこういう年齢・性別・年収で、こういう興味関心がある」ということが分かる。 そうすると、「この属性の人を狙いたいなら、このキーワードの入札強度を上げていけばいい」という判断ができます。

自社データだけでは見えない部分が見えてくる。

簗島氏:

やっぱりここの情報は、サードパーティデータを使わないと分からないんです。コンバージョンをされた方は分かりますが、途中で離脱した方など。 でも途中でサイトを離脱した方の中にも、「取りたかったペルソナ」とそうでない方がいる。

「なぜ売れなかったか」「誰を取り逃がしたか」が分かるわけですね。

簗島氏:

はい。例えば、「取引先の方がコンバージョンプロセスを確認しに来て『よし』って言ってる」……このログにいくらかけてもコンバージョンしないですよね(笑)。

ただ離脱したという事実だけでなく、その人が何者かを知る。特に離脱してしまった人については、自社データだけでは分からないことが多いので、そこを補完することで「再現性を持って同じようなユーザーを取っていく」ことが可能になります。 マーケティングの再現性を高めるという上で、僕らのデータが貢献できる部分は大きいと思います。

ありがとうございました。

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